## 日経平均が過去最高値を更新3連休明けの8月12日、東京市場は大幅高となり、前週末のTOPIXに続いて日経平均株価も過去最高値を更新して取引を終えました。米中の関税交渉への警戒が一旦和らいだことが株価を押し上げた1つの要因ですが、テクニカル的にも理由が挙げられます。それは窓の発生です。以前にも本連載で窓について詳しく解説しましたが、覚えているでしょうか?## 窓の種類と高値更新の理由では、窓についてのおさらいです。窓には4つの種類があります。普通の窓(コモンギャップ)、逃げる窓(ランナウェイギャップ)、突破する窓(ブレイクアウェイギャップ)、そして消耗する窓(エグゾーションギャップ)です。この4つの中で今回発生した窓は、突破する窓(ブレイクアウェイギャップ)になります。実際の株価ですが、7月24日の高値をつけた後、3連休入り前となる8月8日は、7月24日の高値に届かずに終えました。3連休明けに下落して始まるようなら、ダブルトップを形成するのではないかと心配されましたが、いざ取引が始まってみると、7月24日につけた高値を上回る窓をあけて取引が始まりました。この窓がまさに直近の高値を上回って(=ブレイクして)始まる窓(ブレイクアウェイギャップ)と考えられるのです。ブレイクアウェイギャップが発生すると、その後はそのまま上げ幅を拡大するケースがほとんどですが、今回も上げ幅を広げる値動きとなり、2024年7月11日につけた高値も一気に更新したと考えられます。【図表】日経平均株価(日足)出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、75日(グレー線)で設定※出来高はプライム市場※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示## 短期的な過熱感に警戒が必要か?ただ、5日や25日移動平均線との乖離率も拡大しており、短期的な過熱感にも注意が必要かもしれません。一般的に過去の経験則では、25日移動平均線との乖離率が5%~10%に達すると株価は天井をつけやすいとされます。8月12日の25日移動平均線と株価の乖離率は、終値ベースで5.47%となっており、警戒ゾーンに入っていると判断できます。ただ、ピンポイントで売買のタイミングを計るのが難しいことから、さらに急激に株価水準が切り上がることも考えられます。そのため、上昇が続いた場合は10%に接近したり、上回ったりすることも視野に入れ、売買タイミングを考える必要があります。一方で、10%前後の水準で上昇が一服した場合は反落に注意が必要になると思われます。取引時間中の株価水準と25日移動平均線との乖離率には注意が必要です。## モメンタムの急上昇が続き、勢いの継続を示すか注目そうしたなか、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が急上昇しています。また、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインも上回っています。こうした状況から、2本線の上昇が続くのかが注目ポイントです。仮に上昇が続くようなら乖離率が10%近くまで拡大することが考えられ、上昇の勢いの強さが続くのかモメンタムの水準に注意する必要があります。一方で、直近(6月24日)の高い水準を上回ってもすぐに割り込んで低下したり、株価が高値を更新しているにも関わらず、モメンタムの水準が直近(6月24日)の高い水準を超えられなかったりするようなら、逆行現象が発生することになります。急落することも視野に入るため、株価の上昇に連動してモメンタムも上昇が続くのかに注目し、売買判断に役立てたいところです。
【日本株】日経平均が過去最高値を更新した理由 | 福永博之のいまさら聞けないテクニカル分析講座 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
日経平均が過去最高値を更新
3連休明けの8月12日、東京市場は大幅高となり、前週末のTOPIXに続いて日経平均株価も過去最高値を更新して取引を終えました。米中の関税交渉への警戒が一旦和らいだことが株価を押し上げた1つの要因ですが、テクニカル的にも理由が挙げられます。
それは窓の発生です。以前にも本連載で窓について詳しく解説しましたが、覚えているでしょうか?
窓の種類と高値更新の理由
では、窓についてのおさらいです。窓には4つの種類があります。普通の窓(コモンギャップ)、逃げる窓(ランナウェイギャップ)、突破する窓(ブレイクアウェイギャップ)、そして消耗する窓(エグゾーションギャップ)です。
この4つの中で今回発生した窓は、突破する窓(ブレイクアウェイギャップ)になります。実際の株価ですが、7月24日の高値をつけた後、3連休入り前となる8月8日は、7月24日の高値に届かずに終えました。3連休明けに下落して始まるようなら、ダブルトップを形成するのではないかと心配されましたが、いざ取引が始まってみると、7月24日につけた高値を上回る窓をあけて取引が始まりました。この窓がまさに直近の高値を上回って(=ブレイクして)始まる窓(ブレイクアウェイギャップ)と考えられるのです。
ブレイクアウェイギャップが発生すると、その後はそのまま上げ幅を拡大するケースがほとんどですが、今回も上げ幅を広げる値動きとなり、2024年7月11日につけた高値も一気に更新したと考えられます。
【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、75日(グレー線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示
短期的な過熱感に警戒が必要か?
ただ、5日や25日移動平均線との乖離率も拡大しており、短期的な過熱感にも注意が必要かもしれません。一般的に過去の経験則では、25日移動平均線との乖離率が5%~10%に達すると株価は天井をつけやすいとされます。
8月12日の25日移動平均線と株価の乖離率は、終値ベースで5.47%となっており、警戒ゾーンに入っていると判断できます。ただ、ピンポイントで売買のタイミングを計るのが難しいことから、さらに急激に株価水準が切り上がることも考えられます。そのため、上昇が続いた場合は10%に接近したり、上回ったりすることも視野に入れ、売買タイミングを考える必要があります。
一方で、10%前後の水準で上昇が一服した場合は反落に注意が必要になると思われます。取引時間中の株価水準と25日移動平均線との乖離率には注意が必要です。
モメンタムの急上昇が続き、勢いの継続を示すか注目
そうしたなか、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が急上昇しています。また、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインも上回っています。
こうした状況から、2本線の上昇が続くのかが注目ポイントです。仮に上昇が続くようなら乖離率が10%近くまで拡大することが考えられ、上昇の勢いの強さが続くのかモメンタムの水準に注意する必要があります。
一方で、直近(6月24日)の高い水準を上回ってもすぐに割り込んで低下したり、株価が高値を更新しているにも関わらず、モメンタムの水準が直近(6月24日)の高い水準を超えられなかったりするようなら、逆行現象が発生することになります。急落することも視野に入るため、株価の上昇に連動してモメンタムも上昇が続くのかに注目し、売買判断に役立てたいところです。